「あなたを愛しています」と赤いバラは言い、レモンは「誠実な愛」を、スミレは「小さな幸せ」を伝えます。これらはすべて花言葉による表現です。
しかし、これらの花言葉はいつから誰が定めたのでしょうか?それについて掘り下げてみましょう。
花言葉とは何か?起源はどこにあるのか
花言葉とは、特定の花に割り当てられた象徴的な意味を持つ言葉のことで、日本では「花詞」とも呼ばれています。
その起源は明確ではなく、神話や伝説、花の形状や特性に基づいて名付けられることが多いです。具体的に誰が初めて花言葉を定めたのかは分かっていません。
今日では、新しい花の品種が開発される際には、開発者が自ら花言葉を定めることもあれば、販売企業が花言葉を募集して定めることもあります。
日本には公式に花言葉を認定する機関が存在しないため、同じ花に複数の花言葉が存在することも珍しくありません。
- 日本での花言葉の発祥はいつか?
- 花言葉の起源とそれにまつわる神話
日本での花言葉の発祥はいつか?
花言葉の始まりは、アラビア地方の「セラム」という伝統から来ています。
セラムは、花や果物、金銀の糸などを使って、小さなプレゼントに意味を込め、それを相手に贈ることで心の内を伝える習慣です。
この習慣は18世紀にヨーロッパへ広がり、花を通じて感情を表現する「花言葉」へと進化しました。
特にフランスの貴族たちは、恋愛のやり取りに花言葉を活用していました。
1819年には、シャルロット・ド・ラトゥールによって編纂された最初の花言葉辞典「花言葉」が出版されました。
日本には明治時代に花言葉が伝えられ、初めは西洋からの花言葉がそのまま用いられました。
やがて、日本固有の花言葉が生まれ、1909年には田寺寛二によってまとめられた「花ことば」が公表されました。
今日に至るまで、花言葉についての書籍は数多く出版され続けています。
花言葉の起源とそれにまつわる神話
花言葉は、しばしば花の形状や特性から派生しますが、時には古い神話や伝説が基となることもあります。
神話に由来する花言葉
アイリス(花言葉:恋のメッセージ、あなたを大切にします、雄弁、吉報、消息など)
ゼウスに狙われた美しい侍女イリスは、彼の妻ヘラに助けを求めました。
ヘラはイリスを虹の女神に変えることで救い、彼女に輝く7色の首飾りを与え、神の酒を頭に三滴垂らしました。
地上に落ちたその雫から、アイリスの花が生まれたとされます。
アイリスは愛の神エロスの母とも言われており、「恋のメッセージ」の花言葉は、天と地をつなぐ役割を果たした彼女に由来すると言われます。
古代エジプトでは、アイリスの花弁は信仰や知恵、勇気の象徴とされていました。
スイセン(花言葉:うぬぼれ、自己愛、自尊心、気高さ、愛をもう一度)
美貌のギリシャ青年ナルキッソスは、多くの女性たちを魅了しながらも、誰をも愛さず、森の妖精エコーの愛も拒絶しました。
これに怒った復讐の女神ネメシスは彼に呪いをかけ、「自己愛に生きるべし」と告げました。
ナルキッソスは自らの姿に魅せられて恋に落ち、その悲哀に耐えかねて食を断ち、やがて自分の姿が映る水面に身を投じて白いスイセンに姿を変えました。
ワスレナグサ(花言葉:私を忘れないで、真実の愛)
ある日、恋人たちのルドルフとベルタが川沿いを歩いていたとき、美しい青い花が川に浮かんでいるのを発見しました。
ベルタを喜ばせようと、ルドルフはその花を摘もうと川へ入りました。
しかし、重い鎧を着ていたため、急流に足を取られてしまいました。
絶命する瞬間、ルドルフは青い花をベルタに向けて投げ、「私を忘れないで」と叫んで川に消えました。
ベルタはその花を大切にし、常に髪に挿してルドルフを忘れませんでした。
梅(花言葉:上品、高潔、忍耐、忠実)
菅原道真は、その卓越した才能が原因で嫉妬を買い、遠く九州の太宰府へ左遷されました。
道真が愛した梅の木が、主を慕い、道真のもとへ飛んできたとされる伝説があります。この話から、梅には「忠実」という花言葉が与えられています。
まとめ~花言葉の由来とその歴史:日本での始まりと神話について
花言葉は、プレゼントに込められた特別な意味を相手に伝えるための習慣から生まれました。
世界中の異なる文化や習俗によって、同じ花にも様々な花言葉が存在します。
さらに、花の色によって意味が変わることもあるため、贈る際には花言葉の意味をよく理解し、相手に誤解を与えないような選び方をすることが大切です。