パイナップルは、日本で広く親しまれている果物ですが、その「名前」について少し疑問を持っている人も多いかもしれません。
一般的には「パイナップル」と呼ばれていますが、場合によっては「パインアップル」という表記も見かけます。
この二つの名称には実際に違いがあるのでしょうか。
この記事では、パイナップルとパインアップルの呼び名の違いと、どちらが正式な名称なのかについて解説します。
パイナップルとパインアップルはどう違うのか
さて、パイナップルとパインアップルの違いを見てみましょう。
実は、これらの言葉はどちらも同じ果物、つまりいわゆるパイナップルを指しています。言われている違いは、実際にはありません。
それではなぜ同じ果物に異なる名前があるのでしょうか?
これはパイナップルの英語名に由来します。
元々、パイナップルは外国から来た果物で、英語で「pineapple」と呼ばれていました。
この「pineapple」は、もともと「pine」(松)と「apple」(リンゴ)から成る語で、松ぼっくりに似た形状とリンゴのような甘さを持つ果実という意味で名付けられたものです。
つまり、パイナップルとパインアップルの違いは、英語の発音をどのように区切るかによるもので、実際のところ、指し示す果物は全く同じです。
パインという呼び方も
パイナップル、またはパインアップル以外にも、別の呼称が存在します。
それは「パイン」。
日常会話では、「パイナップル」は少々長いため、「パインを買ってきて」と略して使われることがあります。
ただし、「パイナップル」や「パインアップル」と異なり、「パイン」という呼び名で通じるのは日本国内だけです。
これは先にも触れたように、海外では「pine」という単語が松を意味するため、混同されやすいからです。
たとえば、「日本橋」を単に「日本」と略してしまうと、その地名が指すのが日本橋であることは理解されにくいのと同じです。
元々「pineapple」は2つの単語が組み合わさって形成されたものですが、現在ではこれが一つの単語として定着しています。
したがって、海外ではパイナップルを指して「パイン」とは通常呼ばないため、注意が必要です。
パイナップルとパインアップル、どちらが正しい名前なのか
日本でパイナップルには「パイナップル」、「パインアップル」、さらには「パイン」という様々な呼び名がありますが、果たしてどれが正式なのでしょうか。
パイナップルに定められた公式の名称は存在しませんが、「パイナップル」という名称が一般的によく使用されています。
文書に記載される場合、しばしば「パイナップル(パインアップル)」と表記され、「パインアップル」の方は括弧内に入れられることが多いです。
また、「パインアップル」と聞くと、「アップル」=リンゴと連想してしまう人もおり、誤解を招くことがあります。そのため、誤解が少なく伝わりやすいのは「パイナップル」という表現です。
ちなみに、リンゴはバラ科の植物であり、パイナップルはパイナップル科に属しているため、名称が似ていることからリンゴの仲間と誤解されがちですが、これは全くの誤りです。
そもそもパイナップルとはどんな果物なのか
さて、パイナップルとパインアップルの違いや正式な名称を理解した上で、パイナップルとはどのような果物なのでしょうか。
パイナップルはもともと外国から日本に伝わった果物で、原産地はブラジルです。この果物はブラジルのパラナ川やパラグアイ川周辺の地域で自生していました。
日本にパイナップルが初めて持ち込まれたのは1845年で、オランダから長崎へと伝わったとされています。
その後、日本で初めてパイナップルの栽培が始まったのは東京の小笠原諸島、具体的には父島でのことでした。
食べている部分は実ではなくて花の基の部分
今回は、意外と知られていないパイナップルの面白い事実についてお話します。
多くの果物では、通常「実」の部分を食べますが、パイナップルはどうでしょうか。
実は、パイナップルを食べるときに私たちが楽しんでいる黄色い部分は「実」ではないのです。
この部分は、実際にはパイナップルの花托、つまり花の基部にあたります。
パイナップルの「実」を見つけるには、その表面のごつごつとした蜂の巣状の模様を見てください。
それぞれの節が、実際のパイナップルの実に該当します。
ただし、この部分は非常に硬いため、食用としては不適合です。
パイナップルの和名は「鳳梨」
パイナップルは日本では一般的にその外来語の名前で呼ばれていますが、実はこの果物には和名も存在します。
パイナップルの和名は「鳳梨」(ほうり)と言います。
日本国内では「鳳梨」という名前で呼ばれることは少ないですが、台湾ではこの名前がよく使われています。特に、台湾のパイナップルケーキは有名で、多くの旅行者がお土産として購入しています。
台湾では漢字が使用されているため、お土産のパッケージに「鳳梨」と記載されていることがあります。もし「鳳梨〇〇」という表記を見たら、それはパイナップルを使用した何かであると考えられます。
パイナップルの上の葉のはたらき
パイナップルの一番目を引く特徴と言えば、その上部にあるふさふさとした葉ですね。他の植物にはない、このユニークな外見には実はちゃんとした理由があります。
この特異な葉の存在には主に二つの理由があります。
まず一つ目は、「日よけ」としての機能です。
パイナップルの原産地であるブラジルは、日差しが非常に強い地域です。パイナップル自体が紫外線に弱いため、これらの葉は太陽の光から果実を保護するために進化してきました。
人間の髪の毛のように、自身の頭部を覆って強い日差しから守る役割を果たしています。
二つ目の重要な機能は「雨水を集める」ことです。
熱帯地域では、光合成に必要な太陽の光と、生存に不可欠な雨が豊富にあります。
このような環境では、植物間の競争が非常に激しく、すぐにでも他の速成長植物に覆い尽くされる可能性があります。太陽の光や雨水を効率的に捕らえることは、生き残りのための重要な戦略となります。
そのため、パイナップルのふさふさはただの飾りではありません。一見すると雨をはじいてしまいそうですが、実際にはふさふさの葉はU字型をしており、雨粒をキャッチしてパイナップルの根元へと効率良く導きます。
この機能により、パイナップルは見た目の美しさだけでなく、極めて実用的な特性を持っているのです。
最後に
パイナップルとパインアップルの違いは実はありません。どちらの言葉も同じ果物を指しています。
正式な名称が特定されているわけではないのですが、一般的には「パイナップル」と表記されることが多いです。また、「パイナップル」という表現は、「パインアップル」と比べて誤解されることが少なく、より一般的に受け入れられています。